血圧は生活習慣を変えると下がります。

「高血圧」は自覚症状がないので、測定しないと気付くことはありません。なので、健診などで血圧を測定したときに、自分の血圧が高いことに初めて気づく方も多いと思います。

血圧は一日の中で変動があり、健診の時だけ高かったかもしれませんし、実は血圧が高い状態が続いているのかもしれません。

血圧が高いと言われた方は、まずご家庭で定期的に血圧を測って、自身の血圧がどれくらいで推移しているのか把握することが大切です。

そして、家庭で測る血圧もやっぱり高い場合は放っておかずに対処しましょう。

140/90mmHg以上の事が多い場合は「高血圧症」です。放置しておくと、心臓病や脳卒中などの重大な病気のリスクになるので、治療によりコントロールすることが必要です。

また、130/85~139/89mmHgの方は正常高値血圧と言われ、いわゆる「血圧高め」の方で、やはり注意が必要です。

血圧は生活習慣を変えると下がる

血圧は生活習慣に大きく影響を受けます。血圧が高いとわかったときには生活習慣を変えるチャンスです。

高血圧の方もしくは「血圧高めの方」が気を付けたいポイントは、

  • 塩分摂取を減らすこと。
  • 野菜や果物を多くとること
  • アルコール摂取を控えること

です。これらを実践することで血圧は確実に下がっていきます。それぞれについて解説していこうと思います。

塩分を一日3g減らす。

塩分と高血圧には密接な関係があり、塩分をとればとるほど血圧は上がります。そして、塩分を減らせば減らすほど血圧は下がります。

なので、高血圧症の方はなるべく塩分摂取を控えた方がよく、高血圧症の方は1日の塩分摂取を6g程度にすることがすすめられています。

でも、「1日6gと言われても・・・」、そもそも自分が1日何g塩分摂取しているか把握している人はいないんじゃないでしょうか。把握するのはめんどくさいし、そもそも不可能だと私は思います。

そこで、高血圧の方は、「いままでの生活よりも塩分を3g減らす」を目標にするのがいいと思います。

1日の塩分摂取を1g減らせばだいたい、上の血圧で1mmHg、下の圧で0.5mmHgくらいは下がるので、3g減らせば、「ちょっと血圧下がってきたかも?」と実感することができます。

ラーメンの汁を飲まなければ3g減らせます。加工食品は塩分が多く、ハムやベーコンは2枚で1g、ちくわ1本で1g、漬物は3切れで1gです。

ひとつまみの塩あるいは醤油小さじ1杯はだいたい1gなので、1食あたりの塩をひとつまみ、またはしょうゆ小さじ1杯を減らすと3食で3g減ります。

その他にも減塩のコツを紹介する情報はネット上に無数にあるので、自分ができそうな減塩を実践していただければと思います。

減塩以外に血圧が下がる効果が期待できる食生活

血圧が高い方に特におすすめしたい食事のポイントは、野菜と果物を多くとることです。大豆やナッツなどの豆類もおすすめです。

これらの食品に多く含まれる、カリウムやマグネシウムなどのミネラル、食物繊維は塩分を体から排出させる機能があり、血圧を下げる効果があります。

例えば、味噌汁には塩分が多く含まれていますが、野菜や海藻などをたくさん入れることでその効果を打ち消すことができます。

逆に減らした方がいい食品は、脂身の多い赤身肉(牛や豚)、ソーセージやベーコンなどの加工肉、脂や糖分が多く含まれるスナック菓子やジュースなどです。

血圧を下げる食生活「DASH」の効果

このような「野菜や果物を多くとり、肉や脂を減らす食生活」はDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)と言われていて、実際に血圧を下げる効果が証明されています。

DASHにより、収縮期血圧(上の血圧)140-159mmHg、または拡張期血圧(下の血圧)90-95mmHgの方で、収縮期血圧平均-11.4mmHg、拡張期血圧で平均-5.5mmHg血圧が下がると報告がされています。

しかも、DASHによる血圧を下げる作用は速やかにあわわれ、2週間以内には効果を実感できます。

ちなみにDASHの血圧を下げる効果は減塩とは関係なくあらわれるため、減塩と組み合わせることでより高い効果が期待できます。

また、DASHは高血圧症だけでなく、糖尿病や高脂血症をいった他の生活習慣病の改善効果も期待できます。

※ただし、慢性腎臓病など腎機能が悪い方は摂取するカリウムを制限する必要があることがあります。腎機能の悪い方は主治医と相談してください。)

高血圧の方は肥満に注意

肥満の方はそうでない人と比べると2~3倍も高血圧症が多いと言われており、注意が必要です。

食べ過ぎの方はカロリーと一緒に塩分摂取も多くなるため、必然的に血圧が上がってしまいやすいです。

また、塩分とは別に、内臓脂肪の蓄積が過剰であることも高血圧と関係しています。内臓脂肪が多い方は、交感神経優位になりやすく血管が収縮してしまい血圧が上がりやすくなると言われています。

そして肥満の方は高血圧症だけでなく、脂質異常症や糖尿病なども同時にかかることが多く、心臓病や脳卒中などの重大な病気のリスクが非常に高くなるので注意が必要です。

肥満の方は、減量により血圧低下効果することが期待できます。前に説明した「DASH」はダイエットにも有効なので、とてもおすすめです。

お酒は飲めば飲むほど血圧が上がる。

お酒を飲んでいるときには、血管が拡張して一時的に血圧が下がります。

しかし、アルコールが体から抜けると血圧は上昇し、トータルでみると血圧は上がります

そして、飲酒量が多ければ多いほど、血圧の上がり幅が大きいこともわかっています。

アルコールを1日40g以上摂取する人は特に要注意で、脳内出血のリスクが1.67倍、クモ膜下出血のリスクが1.82倍という報告があります。

逆に、飲酒量を減らすとすぐに血圧も下がってくることが分かっています。

高血圧症を治療中の方、健診で血圧が高いと指摘された方は、お酒を減らすことをおすすめします。

ちなみに、1日20g以下のアルコール摂取が適量です。アルコール20gはビール500ml、日本酒1合、ワイングラス2杯、焼酎100ml、ウイスキー60mlに相当します。

最近よくみかけるストロング系チューハイ(9%)は、350ml(アルコール31.5g)で適量を軽くオーバーしてしまい、500ml(アルコール45g)で脳出血の多い大量飲酒になってしまいますので、避けた方がいいと思います。

まとめ

高血圧症は日本で約1000万人の方が治療を受けている、もっともポピュラーな疾患です。しかしながら、高血圧症はほぼ自覚症状がないので、血圧測定しないと気付くことはありません。実際には高血圧症の方は4000万人程度いると推計されています。

高血圧症は脳卒中や心臓病の最大のリスク因子であり、心血管疾患、脳卒中、冠動脈疾患(心筋梗塞など)による死亡の50%以上は高血圧に起因するとされています。

ですが、このリスクは適切に血圧をコントロールすることで下げることができます。

高血圧の方は通院を継続してお薬での血圧のコントロールをつづけることが大切です。

そして、治療を続けることと同じく生活習慣を改善することも大切です。もしかすると生活の見直しで、お薬を減らしたり、時にはお薬がいらなくなるかもしれません。

  • 塩分摂取はなるべく少ない方がいい。まずは3g/日の減塩を。
  • 野菜・果物は多くとる。動物性脂肪、加工肉は少なめに。
  • 肥満(食べ過ぎ)に注意。減量すると血圧は下がる。
  • アルコール摂取は適量で。

血圧を下げる(血圧が上がりにくくなる)生活についてまとめると以上の4点です。

それぞれ一つの項目だけでも十分に効果があります。できることから始めてみましょう。

引用文献・引用サイト

https://gen-shu.jp/risks-associated-with-alcohol/conditions/hypertension.html

LARSSON, Susanna C., et al. Differing association of alcohol consumption with different stroke types: a systematic review and meta-analysis. BMC medicine, 2016, 14.1: 178.

https://www.healthcare.omron.co.jp/zeroevents/

Murakami Y et al for the evidence for cardiovascular prevention from observational cohorts in Japan research group (EPOCH-JAPAN): Relation of blood pressure and all-cause mortality in 180,000 Japanese participants: pooled analysis of 13 cohort studies. Hypertension. 2008; 51: 1483-91.

SACKS, Frank M., et al. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. New England journal of medicine, 2001, 344.1: 3-10.